続けるためのピアノ練習構成:嫌いにならないために。

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45分程度の時間で、どのような練習ができるか考えてみました。練習にはピアノマーベルを利用していますので、レッスン=ピアノマーベルのメソッドやテクニックのレッスンです。また、入門編のレッスンは一つあたりの時間が短いので、割当時間も短めです。

  1. 準備 指のストレッチ&軽く体を動かす
  2. 10分 運指などの基礎練習 (テンポ60&テンポ100~)
  3. 15分 前日の復習(内容に不満があるレッスン)
  4. 05分 休憩 ボーっとするか、関連の雑学本を読むか。
  5. 10分 新しいレッスン(負荷の高いレッスン)
  6. 05分 楽しめるレッスン(好きな曲やフレーズ)

ポイントは負荷の高い新しいレッスンと、既に90%できている楽しいと感じるレッスンを混ぜること。練習を嫌いにならないよう気を配る。練習効率ではなく、続けることを優先しています。

以下、なぜ、この練習構成が良いと考えているのか理由をメモとして残します。あくまで、ピアノビギナーが考えた、自分のための練習内容です。これが最高の練習方法だ!という趣旨ではありませんのであしからずー。

どのような練習構成にすれば効果的でしょうか?

何も考えずに練習メニューを作ると、どうしても効率的にテクニックを学ぶような内容になりがちです。上達するために練習するわけですから、多少の効率を求めるは悪いことではないはずです。ですが、効率だけにフォーカスしすぎるとストイックすぎる練習メニューが出来上がります。その結果、必要以上にストレスをため込んで、途中で投げ出してしまう…ということが起こりえます。

そうならないよう、効率よりも’続ける”を優先した練習構成を考えていきます。練習を続けるためには次の3つが大事だと考えています。

  1. 習慣化のコツ
  2. 負荷のバランス
  3. 好きでいること・嫌いにならないこと

特に3の”嫌いにならない”は重要です。人の脳は対象を嫌いになってしまうと、何かと理由をつけて止めようとしてしまいます。逆に興味があることであれば、時間を忘れて練習しますし、意識しなくても知識を貯めこんでいきます。

習慣化に3週間 体が覚える4ヶ月

一般的には3週間続けると、習慣化してその後も続けられるようになると言われています。3週間つづけるために、記録をつけながら、ピアノの練習を既に習慣になっている行動に紐づけていきます。

3週間してピアノの練習が習慣になったら、次は4ヶ月続けることを目指します。個人的な経験からですが、ひとつのことを数ヶ月つづけると、考えなくても体が動くようになります。私の場合はその目安が4ヶ月です。6ヶ月続けると、さらに体がよく反応するようになります。

若干、オカルトな匂いがしないでもないですが、学生時代の部活などで気がついたら上手くなっていたという体験はないでしょうか?体が勝手に反応するまで練習する期間と考えるといいかもしれません。もちろん個人差がありますので、自分の体験に照らし合わせて期間を設定すると、上手に続けられると思います。

記録をつける

記録については、以前に書いたカレンダーにシールがそうです。ノートでもメモ用紙でもいいので自分が好きな記録方法を選ぶのがコツ。大人になってシール(笑)と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、時間を割いてシールとカレンダーを選ぶことに意味があります。お金でも時間でも何かしら先に支払うことで、動機づけを強められるからです。地味ですが効果が高い方法です。

習慣になっている行動に紐づける if ~ then

習慣に紐づけるとは、顔を洗うとか、お風呂だとか、すでに習慣になっていることの後に練習を持ってくることです。○○したらピアノの練習をすると決めてしまいます。朝の疲れていない時間に練習できればベターなので、顔を洗う→指のストレッチ→昨日の復習15分といった具合です。こうすることで、苦労することなく習慣になっていきます。

負荷のバランス

新しく学んだ複数のことを同時に練習しようとすると、上手くいきませんよね。これは負荷が高すぎて脳がまったくついてきてない状態です。特に男性は女性よりも、同時に複数のことをするのが苦手とされていますので、段階を踏んで少しづつ消化していかなければいけません。

適度な負荷の練習にするには、どうしたらいいでしょう?

簡単になるまで分解する

両手で弾くのが難しければ右手と左手に分けて練習する。距離があって音が途切れるなら、ポジションを分けて練習し、後からつなげる。リズムが怪しいなら、音とリズムに分けてみる。難しいリズムは手を叩いてやってみる等。とにかく出来ないことは、分解して練習します。

1日で完成させない

初めてトライするレッスンで難しいと感じたら、テンポを落としてゆっくり正確に弾く。その日は完成を目指さずに、わざと次の日まで寝かせる。次の日になると、一晩寝たことによって記憶が整理されているので、少しだけできるようになっています。これをできるまで繰り返す。

ピアノマーベルのレッスンなら、3~5日程度で完成するよう進めています。3日目で出来なければ、出来ない理由を考えながら、練習メニューを組み直します。

できるようになったと感じるレベルになったら、少し負荷を高くして練習してみる。例えば、リズムや音符を歌いながら弾いてみる。こうすることで、少しづつ応用力がつく。

復習と新しい練習・楽しい練習をバランスよく

いくら分解してテンポを落としても、練習時間のすべてを新しいレッスンで埋めてしまうと、後半は頭に入ってこなくなります。また、負荷が高すぎる練習を続けると、練習自体を嫌いになりかねません。そこで、復習や楽しい練習曲などを意識して取り入れます。

大人のピアノ練習の場合は、1日の練習時間が限られます。20分程度の練習時間の日もあるでしょう。そういった日でも、必ず軽い復習と楽しいと感じてるレッスンや練習曲を組み込みます。

好きでいられる・嫌いにならない

心理学の知見を利用して、自然と好きになる環境を作ろうというのが趣旨です。

心理学の実験は、あくまでそういう傾向があるという程度のことですが、何も考えずにストイックな練習メニューを組むよりは、よい結果を得られると考えています。何より、こうやって自分で考えながら練習メニューを考えるのは楽しいですしね。

なんとなく好きになる

脳をその気にさせる錯覚の心理学”によると、人は流暢性が高いと、その対象を好きになっていくのだそうです。流暢性とは言い換えると、スムーズに行えることです。そこで、既にできている流暢性の高いレッスンや練習曲を、意識して練習メニューに組み込んでいきます。

どこに組み込めばいいでしょうか?人は最初と最後をよく覚えているという初頭効果と終末効果を利用するのがよさそうです。昔から終わりよければすべて良しといいますので、練習の最後に好きな曲・レッスンをもってくるようにします。

ついでに、知れば知るほど好きになるという単純接触効果も利用します。定期的に関連本や雑誌を購入して読むだけでも、この効果が得られます。私の場合は、練習合間の10分休憩で、ピアノやその歴史に関する雑学本を読んでいます。

>>電子ピアノをはじめて5週間ぐらいで”ピアノがうまくなるにはワケがある”という本を買いました。リズムと拍の捉え方など、そこが知りたかったと思える内容です。著者の角 聖子先生はNHK教育テレビ趣味悠々「楽譜が苦手なお父さんのためのピアノ塾」で講師されていた方です。

嫌いにならないように

子供の頃、スイミングスクールが大嫌いでした。大きくなってから泳げてよかったと感じることが多かったので習っていて正解だったのですが、今でも嫌だった練習の風景を思い出します。嫌いな理由をここで書きだせば、10個や20個スラスラと書けそうな勢いです。

人間の脳は、その対象を嫌いになると、止める理由を適当にでっち上げる能力に長けているそうです。もともとは自分を守るための機能ですが、ピアノの練習を止めるための理由を作るようになってしまうと困ります。ということで、嫌いになる原因になるようなことは、意識して避けるようにしておきます。

すでに書きましたが、まず負荷の高い練習だけをしようとしないこと。特に初見で難しいと感じたレッスンなら、数日掛けてこなしていくようにします。

もちろん毎日の練習を心がけますが、仕事や用事が詰まっているなら迷わず休みます。また、疲れている時や頭に内容が入ってこない日は、軽く好きな曲だけを弾いて終わります。無理にルールにしたがって進めようとすると、脳の自己防衛機能が働き出し、止める理由を探し始めてしまいます。

好きになる理由・嫌いになる理由は人によって違うでしょうから、自分にフィットした練習環境を作るよう心がけたいものです。

役に立ちそうな知識

ピアノの練習には直接関係ないけれど、知っておくと役にたちそうなこと。出典が曖昧なものもありますので参考程度に。

ストレスが自分を強くする

ストレスは避けるべきものでしょうか?過度のストレスがかかると病気になってしまうので悪いものと捉えがちです。しかし、適度なストレスは人を育てるともいえます。「このストレスが自分を強くする」と考えると、ストレスが軽減されるという心理学の実験があるのだそうです。

過度なストレスを避けつつ、適度なストレスがかかるようにする。ストレスは自分でコントロールできる。と、考えておく。

学びのプロセス 人間は失敗して学ぶ

脳科学者の池谷さんによると、人間の脳は失敗しながら学ぶようにできているのだそうです。教科書などで学んだことより、自分で失敗しながら学んだことのほうが理解できているのはそのためです。

  1. ◯◯は駄目だった
  2. ▲▲も駄目だった
  3. □□は少し上手くいった
  4. ××は成功しそうだ
  5. つまり、こういうことだ!

というプロセスで学ぶようにできているとのこと。上手にトライ&エラーしていきましょう。

最後に

以上、自分なりの練習メニューの考え方を書いてみました。当初、数行で終わる予定でしたが、追記に追記を繰り返して長文になってしまいました。あくまで、こうしたらいいんじゃないかな~程度の内容ですが、練習のヒントになれば幸いです。また、あなたの練習方法や心がけていることがあれば、ぜひコメントで教えてください。